最近のMCU(マーベル)映画から「マルチバース」というキーワードをよく耳にするようにまりました。
マルチバースとは、一体どういう意味でしょうか。ウィキべディアによると以下のように定義されているます。
多元宇宙論(たげんうちゅうろん、英: multiverse)とは、複数の宇宙の存在を仮定した理論物理学による論説である。物理的に観測不可能な様々な事象を数学や物理学を元に理論構築し、既知の観測や観察とともに予想された物理理論の一つである。
意味不明ですね。。。笑
でも、ご安心ください。
アメコミにおけるマルチバースはそんなに難しくありません。
マルチバースを日本で馴染みのある言葉に言い換えると「パラレルワールド」
今回はアメコミ世界における「マルチバース」の意味と、「マルチバース」が今後のアメコミ映画でどのように影響してくるか解説します。
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アメコミにおけるマルチバースの意味
アメコミにはマルチバースという考え方があり、宇宙にはパラレルワールドが複数存在しており、別のパラレルワールドには少し違う設定で同一の人物がいます。
Disney+ドラマ「ロキ」では、このパラレルワールドの同一人物の事を変異体と呼んでいましたね。
マルチバースのバースとはユニバースを意味しており、MCUの「U」はUniverse(ユニバース)です。
ちなみにMとCはそれぞれ「マーベル」、「シネマティック」で、MCUとは「マーベル映画の世界」みたいな意味となります。
つまり、原作のファンが異なる設定に困惑しないように、映画では一貫した別世界で話を作ることを明示しているのです。
マルチバースの例
例えば、ディズニー+で配信されたドラマ「ワンダ・ヴィジョン」ですが、アメコミではヴィジョンにはワンダを奥さんにするパターンの世界と、アンドロイドの奥さんと子供達を持つ二つの世界が存在します。
浮気か?と思うかもしれませんが、それぞれ交わらない別の世界での出来事となっています。
ちなみに海外では”アンドロイドの奥さんと子供達を持つ二つの世界”の作品もかなり有名で小学校の指定図書に選ばれていたりもします。
「ワンダ・ヴィジョン」の原作について、詳細は以下をご覧ください。
なぜ、マルチバースを取り入れる必要があるのか
アメコミは実に100年以上の歴史を持っており、マーベル作品の原作者兼編集者であるスタン・リーの作品でも約60年の歴史があります。
最近のハリウッド映画の映像からは想像できないほど歴史があり、日本で言うとサザエさんよりも古くからある文化なので驚きです。
ですが、50年前の設定を現在も忠実に守るのには無理がありますよね。
特に50年前は人種差別や多様性の問題が根強く、悪しき風習を継承しないためにもマルチバースは非常に有効です。
また、アメコミは同一キャラクターのストーリーを複数の作家が執筆したりするので、作家ごとに画風だけでなく、設定も異なってきます。
映画撮影の観点でも事情があり、ハリウッドスターとの契約の関係で昔の役者を起用できないことも良くある話です。
こうしたところからも「マルチバース」は非常に都合のいい設定なのです。
マルチバース間の融合
異なるバースは時に融合することがあります。
有名な例がスパイダーマンのアベンジャーズ参戦and離脱騒動です。
実はスパイダーマンの映像化の権利はソニー・ピクチャーズ(SonyPictures)が保有しています。
ソニー・ピクチャーズ(SonyPictures)は独自にSPUMC(ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター)というマルチバースを持っています。SPUMCは、2021年8月にSSU「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」に名前が変わりました。
近年大ヒットした映画『ヴェノム』が有名ですね。
これはMCUとは異なる世界の話として描かれており、他のマーベルキャラは作中に登場しません。
ソニー・ピクチャーズとしては彼らがキャラクターの権利を保有するSSUが賑わうように映画を作ろうとしています。
そして、大人気スパイダーマンですが、SSUの名の通りエース的なポジションです。
MCUの世界に出張出演していますが、ソニーとしては他社の作品に貢献している状況になってしまっています。
ですので、トム・ホランド演じるスパイダーマンのMCU離脱疑惑が昨年話題となりました。
ちなみにソニー・ピクチャーズ(SonyPictures)はSSUの新作として『モービウス』という映画を2022年1月に公開予定です。
マルチバースを取り入れた作品
ソニー・ピクチャーズ(SonyPictures)のSSUとMCUの融合は完全に大人の事情ですが、近年、ストーリーを面白くするためにマルチバースが取り入れられるようになってきました。
スパイダーマン:スパイダーバース
スパイダーマン:スパイダーバースはマルチバース設定を前提にした作品です。
この作品は黒人の少年マイルズがスパイダーマンとして奮闘する世界に、異なる世界のスパイダーマンたちが次元を超えて助けに来てくれるというストーリーです。
共通の苦悩(大いなる力と大いなる責任を持つこと、大切な人を失った過去)を持つ人種や性別の違うスパイダーマンの仲間達がアーティスティックな演出とともに活躍します。
アベンジャーズ・エンドゲーム
MCUでもマルチバースが設定に取り入れられ始めました。
詳細はネタバレになるので伏せますが、2019年公開のアベンジャーズエンドゲームでは、元々の世界からマルチバースが分岐するような示唆がなされました。
今後公開を予定しているドクターストレンジの最新作ではサブタイトルが「マルチバース・オブ・マッドネス」とマルチバースの存在は公式なものとなっています。
おそらく今後のMCUでは複数のマルチバースをヒーローが行き来するはずなので、マルチバースという概念はしっかり認識しておきましょう。
日本の特撮もマルチバースを取り入れている?
昨今の仮面ライダーやスーパー戦隊作品では、過去に登場したヒーローを現在の作品にも柔軟に登場させています。
原作では大人だったキャラが子供で登場したり、女性で登場したり、結構自由にやっているようです。
作品に応じてキャラの設定を調整できますし、契約の切れた役者を口説く必要もないので、やはりマルチバースという設定は便利ですね。
このように作品の歴史が長くなると、マルチバースという概念はより有効になるのではないでしょうか。
まとめ
今回はアメコミにおける「マルチバース」という言葉の意味を説明しました。
マルチバースは死んでしまったキャラが復活したり、キャラの基本設定が変わるなど、都合の良いことができる反面、やりすぎるとファンから大きなバッシングをくらうこともあります。
今後、続々とマルチバースの概念が取り入れられてくると思いますが、世界観をまとめつつファンに受け入れられる設定をどう構築していくかが、各ユニバースの腕の見せどころだと思います。